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不定期気まぐれ萌日記
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テスト前や修羅場で掃除がしたくなります。
タイトルの俳句は、通っていた予備校で配っていた団扇に印刷されていたものです。
毎年生徒から俳句・川柳を募ってコンテストしていました。
私は応募したこと無いけど……



というわけで掃除したら、不透明水彩とF4サイズのスケブが出てきました。
去年のアート演習の残り、というよりはあまりに新品に近い状態です。
不透明水彩とか、三原色以外使っていないし…。
頑張ってこの夏休み何か描いてみようかな。うん。



更新する予定だったのですが、なんだかちょっと無理かもしれないので
中身だけ追記に投下します。


長カメ未来ねつ造の続きです。
誤字脱字加筆修正をしてから、サイトの方に載せます。



 *****
「おにいさま!お帰りなさい!」
「カメ子ー!!」
言葉どおり飛びついてきた妹をしんべヱはしっかりと受け止めた。
「カメ子、ちょっと大きくなったんじゃない?髪の毛も伸びてきているし!」
「おにいさまこそ、背がずいぶんとお伸びになったんじゃんありませんか?」
「だってもう二年生だもん!」
えっへん、とふんぞり返る兄にカメ子は心底嬉しそうに微笑む。去年よりも、もっと言えばこの春よりもいくらか背は伸び、ほんの少しだが体も引き締まってきている。
齢十一、しんべヱの言う通り子供から少年へと変わり始めている頃だ。
あと五年の間には、少年から青年へと成長していく。
「きっとパパよりも大きくなるぞ、しんべヱ!」
「パパ!ただいま!」
今度はしんべヱが飛びついた。勢いとしんべヱ自身の重さで体が蹌踉けるが、今はまだ抱きとめることが出来る息子を、彼はしっかりと抱きしめた。

「それで土井先生はね『また補習だ、トホホー』って言ったんだよ。学園長の思いつきにも困っちゃうんだよねー。それで山田先生がね……」
「まあ、相変わらずですのね。それでその後どうなったんですの?」
学園長の思いつきを起とするいつもの騒動も、カメ子にとっては珍しい刺激的な内容ばかりだ。
つい先日までは、一緒に庭先でのんびりとゆったりした時間を過ごしていた兄が、(見違えるとまではいかなくても)逞しくなっていくのも仕方ない、とカメ子は思った。
それに引き換え自分自身は…ただ父親の手伝いとして、商いの助けをするしかない。
字の読み書きや、書を読むことは出来るが兄のように人に気付かれずに隠れたり、崖のあちらからこちらに縄伝いで行くことなど出来ない。
もちろん、これからずっと今際の時まで自分は商いの場に留まり続けるということを分かっている。
それでもどうして、こんなにも兄を羨ましく思うのか…。
「そういえばね」
「はい!」
「食満先輩がね、来てくれたんだよ。終業式の日だったかな?『図書館に読みたい本があって来た』って!その時持ってきてくれたお団子が美味しかったんだ〜」
そういってまた目元も口元も緩ませて嬉しそうに言う。委員会で一緒だった食満先輩の話は、前からよく聞いていた。
同じ六年生の潮江という先輩とよく喧嘩しているだとか、同室の善法寺という人が部屋で作る薬の匂いが移っていつも不思議な匂いがするとか、目つきは悪いけど、後輩には優しくて困ったときは丁寧に色々教えてくれるんだとか、いつも自慢げに話してくれていた。
「先輩はね、フリーの忍者でやっていくんだって!今年の分はもう仕事が詰まっていて、結構忙しいんだって。噂だけど、何年かしたら忍術学園で教師に来るんじゃないかって皆言ってるんだ〜」
「まあ、それではお兄様が食満様に教えを頂くときも来るかもしれませんわね!」
「うん!その時は『しんべヱ成長したな!』って言ってもらうんだ!」
それでご褒美に、うへへ、とまた口元を緩め始めたのでカメ子はすかさず手ぬぐいで口元を拭ってやった。
「お兄様、またよだれが出ていますわ」
「あ、うんありがとう。そうだ、あとね、食満先輩から立花先輩のことも聞いたよ。食満先輩と一緒でフリーの忍者になったんだけど、なんか来年までいっぱい仕事が詰まってて、もう売れっ子なんだって!利吉さんみたい。」
「そうですの!凄いですわ!」
「あとね、中在家先輩もフリーの忍者なんだって!暫く仕事が一緒になりそうなんだって、言ってたよ。」
その名前を聞いて、カメ子は少しだけ目を見張らせたが、他の卒業生の話と同じように応えて見せた。
「まあ、中在家さまもですの。では七松さまも、潮江さまもフリーの…?」
「うーん、噂ではどこかの城のお抱えだって聞いたよ。あと善法寺先輩はね…うーんどうだったかな?」
と卒業生の行き先について、しんべヱはあれこれとカメ子に教え、予算委員会では大変だったとか、お誕生日会を開いてくれたとか、とある村を皆で協力して救っただとか、いつの間にか思い出話まで語ってくれた。
そうは見えないが、兄も先輩たちが去って寂しいのだろう…とカメ子は相槌を打ちながら思った。
そして、中在家長次の名前が出てくる度に嬉しいような悲しいような複雑な気持ちが浮かんでくるのを、感じ取った。無口で、無愛想だけれども、実は優しくて勤勉な姿に憧れに似た淡い気持ちを抱いている。
彼が卒業して簡単には会えなくなっても、生まれた感情はそのままカメ子の中に在りつづけていた。




楽しそうに語り合う子ども達をそっと戸の影から見守る。
無事に進級できた息子は、入学当初よりも遥に逞しくなっており、精神面でも甘えがだんだんと減った。
贔屓目に見ても、以前とは明らかに違う力強さを感じるまでになっている。正直、そうそうにギブアップすると思っていたが、良い意味でそれを裏切ってくれた。
大切な友人や、便りになる先輩や、尊敬すべき教師が出来て本当に良かったと思う。
今までの狭い、しかし安全な世界から飛び出していくのは親として心配でもあるが、それでも息子が一人でも生きてゆけるように成長していく姿はやはり嬉しく思う。
そうしてだんだんと離れていくのは少し寂しいが…
「あ!パパ!」
「お父様!どうしてそんなところにいらっしゃるのですか?こちらに来て一緒にお兄様のお話を聞きましょうよ!」
「そうだよパパ!」
そう言って二人揃って破顔されれば、誰が逆らえようか!
「しんべヱ!カメ子!パパも混ぜてくれ〜い!!」
嬉嬉として彼は子ども達の方へ駆け出した。






あれよあれとと言う間に、この学園に来て五年が過ぎてしまった。
最初は何重にも折り返して仕立て直していたこの服も、今では本来の規定で着れるようになった。
背が伸びた。
泳げるようになった。
読める漢字も増えた。
薬の調合の仕方、毒の作り方も覚えた。
刀も銃も使えるようになった。
迷い癖も、最近はとんと態を潜めている。
ただ目の前にあるものに全力を注いできた結果は、思い起こせばとても大きな力になって自分に付随していた。
今までの卒業生も、同じだったのだろうか。
そして気がつけば、自分の後ろに付いてくる沢山の『後輩達』に見送られて、一人前の忍者として学園から巣立っていったのだろうか。
先輩…
数ヶ月前に卒業していった、寡黙で、だがとても優しい先輩のことを思い出す。
噂ではフリーの忍者として、それなりに忙しい日々を送っているらしい。
卒業生は滅多に学園にはやってこないが、本が好きな彼なら、いつか顔を出してくれるかもしれない。
その時は自分はいないかもしれないけれど、下級生のきり丸や怪士丸だったら会えるかもしれない。
その時も、やっぱり彼は小さい声で語りかけるのだろうか。
そして、新入生達に怖がられるんだろうか。
「雷蔵、どうしたんだ?」
「いや、ちょっと中在家先輩の事を思い出してね。もしかしたら、顔を出してくれるんじゃないかって」
「本当に雷蔵は中在家先輩が好きなんだな。」
八左ヱ門はそう言って、僕の手から本を一冊ひったくった。
表紙には、猫の絵が描いてある。
彼が購入を頼んだ、毛のある生き物の飼い方が載せられている本だ。
「うん。だって、先輩はいつも冷静に物事を見据えて、最良の方法を選んでいたんだもの。委員会でも実習でも。」
「『そしてそれはこの膨大な量の書物に常に囲まれ、読み、理解し、活かす能力を身につけたから』だろ?」
視線だけ雷蔵に向けて八左ヱ門は口の端を上げた。
雷蔵も、台詞を取られて怒るどころか嬉しそうに笑った。
「大変な人を先輩に持ったな、雷蔵。…でも、良かったな。」
「そう。だから僕も、彼が纏めていた図書委員にいれた事を誇りに思っているんだ。」




「雷蔵、お客さんが来ているよ」
部屋の外から声が聞こえた。
「三郎」
スウッと開いた扉の隙間から覗いたのは、雷蔵と同じ顔。
変装の名人、鉢屋三郎だ。
「しんべヱの妹君だ。今学園長室にいるんだけど、図書室にも行きたいらしい。」
「カメ子ちゃん!また来てくれたんだ…待たせちゃ悪いから、僕行くよ。八左ヱ門、その本の返却は一週間以内だからね!」
そう言って雷蔵は足早に部屋を出て行った。
「急ぎすぎて転ぶなよー、ってもう行っちゃったか。」
「まあ、大事なお客さんだしね。よく来てくれるし、図書室の本の整理も手伝ってくれるんだろ?良い子だよなー」
「それに、お土産のお菓子も美味しいし…」
三郎は口の周りを拭う動作をした。
「三郎、なんかしんべヱみたいなことになってるぞ。」
「なんなら顔も」
「いやそれはいいよ」
三郎がしんべヱの顔を気に入っていることは周知の事実だが、本人の評価とは裏腹に、周りからの評価はあまりよろしくなかった。
顔の精度は大変高いのだが、体型が合っていないのだ。
正直言えば、不気味で仕方ない。
八左ヱ門も、等身が高いしんべヱと二人っきりになって、本を読み続ける事が出来るかどうか自信がない。
「ってかお前何しに来たんだ?雷蔵への伝言はもう済んだだろ?」
「そんなに邪険にするなよ。…お前はどう思う?」
「何が?」
「カメちゃんのこと。」
三郎がカメ子の名を口にした瞬間、八左ヱ門は本から顔を上げた。
心なし、頬が引きつっている。
「いやお前の好みを否定する訳じゃないけどさ、まだ六歳そこそこだぜ?それにあの親父さんが黙ってるわけは」
「なに勘違いしているんだよ。」
三郎は盛大にため息を吐いてみせた。そしてちらりと八左ヱ門を見た。
「彼女、中在家先輩に憧れていたらしいぜ。勿論、雷蔵とは違う意味で。」
「ああ、それなら…」
堺の大商人の娘が、寡黙で不気味と有名な六年生に思いを寄せていた事は、誰が見ても明らかだった。
学園に来れば、兄であるしんべヱへの挨拶もそこそこに図書室に通い詰め、うっとりと思い人を眺めている様子も目撃されている。
「でも先輩卒業しちゃったよな。…寂しいだろうな」
「まあな。でも彼女、春からこれまで一度も先輩の名前口にしていないんだぜ。寂しい、とかいったこともないんだ。」
「まあ、そうだな。いつも明るく挨拶してくれるし…」
「でも俺、見たんだ。縄標の頁で、ちょっと手が止まるんだ。きっと先輩の事を、思い出したんだぜ。」
どこか嬉しそうな三郎に、八左ヱ門は表情を曇らせた。
「……で、悲しそうな少女を見て嬉しそうな変態三郎君は俺に何を言いたいのかな。」
「まあ聞けって…これは、先輩が卒業する前の事なんだけどさ。」
三郎は少し八左ヱ門との距離を詰めた。
「…ある大商人がさ、秘密裏に中在家先輩をヘッドハンティングしに来たんだぜ。中在家先輩は結果的には断ったんだけど、中在家先輩をよっぽど気に入っているのか、その大商人はある提案を出したんだ。」
「どんな提案なんだ?」
「それがさ…五年間、中在家先輩のやりたいようにさせて、その後でいいから雇わせてくれって事なんだ。しかもそれを受け入れるか否かは先輩の意志で決められるんだ。」
「…つまり、五年間は自分の好きな仕事を引き受ける事が出来て、仮に仕事が少なくても五年後の雇い口は確保出来ているから大丈夫って事なんだな。」
三郎は大きく頷いた。
「そうそう。羨ましいよね~五年間は自分の好きなことが出来るんだぜ。色々な仕事が出来て、技も術も磨けるし、何より将来が約束されているのが良い。」
「…ところでお前は、その話を何処で聞いたんだ。」
「屋根裏」
あっけらかんと言い放つ同級生に、八左ヱ門は眉間を押さえた。
秘密裏の話、という時点で大体の察しは付いていたが、まさか本当に盗聴していたとは思わなかった。
「…まあ、今この話を持ち出してきたってことは、その大商人は福富屋さんなんだろ。」
「大当たり!まあ、あの様子だとカメ子ちゃんは知らないだろうし、これからどうなるか……」
ニヤニヤと笑みを浮かべる三郎に、八左ヱ門は再びため息を吐いた。









「有り難うカメちゃん。いつも貰っちゃって…。」
「いえいえ!いつも兄がお世話になっていますから。」
にこにこと屈託無く笑う。
手にした包みからは、微かに甘い匂いが出ていて、今日もまた持ってきてくれたのか、と雷蔵は思った。
学園長から延滞していた本を受け取って、二人は図書室へと向かっている。
日は少し柔らかくなり、縁側で休憩するには丁度良い時刻だ。
「そういえば、兄は皆さんにご迷惑などかけていませんか?」
「ん、大丈夫だよ。最近はちゃんと本を(綺麗なまま)期限内に返してくれるようになったし、勉強しに来ることも増えたし…」
「そうなんですの!?お兄様、立派になられて…」
そう言って嬉しそうに笑う様子は、妹というよりも姉のそれだ。

六歳にしては、しっかりしている。
雰囲気だけでなく、父親の影響だろうか、状況を判断したり、物事の動かし方も、同じ年頃の子供とは比べものにならない位心得ている。
もしかしたら、彼女の兄よりも長けているかもしれない…。
だがそれを鼻にかける様子もない。
年の割にしっかりとしているが、笑った顔はやはり子供で、雷蔵は安心した。


そういえば……


彼女が長次に想いを寄せていたことは周知の事実だが、卒業後は全く会っていないらしい。
彼が卒業した後でも、カメ子が図書室に来て本を読む機会減ることはなかった。
むしろ前にも増して、熱心に。


だけど……



ふとしたときに、その表情が曇ることがある。
その原因を雷蔵は知っている。
いや、彼女を知っている者なら、大抵の人間はわかるだろう。
そしてそれを解決するのは時間を掛ける事しかないということも……


「そうだわ、食堂にお茶を借りてきますわ。」
「うん、その方がいいかもね。じゃあ僕はみんなに声を掛けてくるよ。」
せめて少しでも、彼女がここで楽しく過ごせますように、と雷蔵は願わずにいられなかった。





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プロフィール
HN:
暁千夜
性別:
女性
職業:
社会人
趣味:
色々
自己紹介:
一応デザイン関係の学科に通っているらしい。
でも機械とかにも興味があったり。
まだまだ色々勉強中。押忍。
日記の内容はmixiから転記していたり、まったくの萌叫びだったり。
カオスな予感。
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研究室が決まって期待と恐怖が入り交じった気持ちを抱えながら毎日を過ごす。
今の気持ちを一言で表すとすると
『オラ、わくわくすっぞ!!』
泣き虫だが超ポジティブ思考と周りに言われている。
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いつの間にか社会に解き放たれてなんとか生きている
フリーエリア
男の子中心!↓


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